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大阪地方裁判所 平成3年(わ)3536号 判決 1992年10月02日

本店所在地

大阪市淀川区西中島三丁目二〇番四号 西三ビル

商号

株式会社日本カントリーサービス

代表者氏名

代表取締役 和田良一

代表者住所

大阪市淀川区西宮原三丁目三番二-一四二一号

本籍

福井県小浜市深谷第二〇号二番地

住居

大阪市淀川区西宮原三丁目三番二-一四二一号

会社役員

和田良一

昭和一二年一月七日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官森本和明出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社日本カントリサービスを罰金一六〇〇万円に、被告人和田良一を懲役一年に処する。

被告人和田良一に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社日本カントリーサービス(以下、「被告会社」という。)は、大阪市淀川区西中島三丁目二〇番四号西三ビル内に本店を置き、ゴルフ会員権売買業を営むものであり、被告人和田良一(以下、「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法によりその所得の一部を秘匿して、平成元年四月五日から同二年三月三一日までの事業年度における実際の所得金額が一億七七〇六万〇〇〇〇円で(別紙修正損益計算書参照)、これに対する法人税額が六九九四万四〇〇〇円であった(別紙税額計算書参照)のに、同年五月三一日、大阪市淀川区木川東二丁目三番一号所在の所轄東淀川税務署において、同税務署に対し、その所得金額が一四一一万四五〇九円で(別紙修正損益計算書参照)、これに対する法人税額が四七六万五六〇〇円である(別紙税額計算書参照)旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額と申告税額との差額六五一七万八四〇〇円(別紙税額計算書参照)を免れたものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

一  第一回公判調書中の被告人の供述部分

一  被告人の検察官に対する各供述調書

一  被告人に対する大蔵事務官の各質問てん末書

一  松井千代子及び平田進一に対する大蔵事務官の各質問てん末書

一  大蔵事務官作成の各査察官調書

一  大蔵事務官作成の各査察官調査報告書

一  大蔵事務官作成の証明書(検察官請求番号2)

一  登記官作成の登記簿謄本

一  検察事務官作成の捜査報告書

(法令の適用)

被告人の判示所為は法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役一年に処し、情状により刑法二五条一項を適用して、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

更に、被告人の判示所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については法人税法一六四条一項により判示の罪につき同法一五九条一項所定の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用し、罰金額をその免れた法人税の額以下とし、その金額の範囲内で被告会社を罰金一六〇〇万円に処すこととする。

(量刑の理由)

本件は、ゴルフ会員権売買業を営む被告会社において業務全般を統括していた被告人が、平成二年三月期の事業年度に一億七七〇〇万円余りの所得をあげながら、売り上げの一部を除外するなどの方法により所得の一部を隠して申告し、六五〇〇万円余りの法人税を脱税した事件である。その脱税額は決して少額とはいえず、ほ脱率も、約九三パーセントと高率で、所得のほとんどを秘匿したというべき事案である。

その犯行の態様は、被告人の指示によって売上げの一部を除外したり、架空の支払手数料を計上するなどし、被告人がこれによって得た資金を、定期預金等として留保していたものであって、その手口は巧妙でないとしても、相当に大胆である。また、犯行の動機は、不況により収入が少なくなったときに備えての資金留保であるが、右留保は、納税を前提とした上で、合法的な経営努力によりなされなければならないことであるから、動機として酌むべきものとはいえない。そうすると、被告人と被告会社の刑事責任は軽視することができない。

しかし、他方、被告人の犯行は計画性が低いこと、被告人は、査察段階から事実関係を素直に認めて反省の態度を示していること、被告会社においては、本件ほ脱額に関し、本税、附帯税合計九七〇〇万円余りのすべて、地方税合計四五五〇万円余りの大半を納付済みであること、被告人の前科は業務上過失傷害の罰金前科一件のみであることなど、被告人らのために酌むべき事情も多く認められる。

そこで、これらの事情を総合考慮して、被告人と被告会社をそれぞれ主文の刑に処し、被告人に対しては、その刑の執行を猶予するのが相当と判断する。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 田中正人)

修正損益計算書

<省略>

税額計算書

<省略>

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